『海賊と呼ばれた男』第三次世界大戦へ向けて
1.石油は世界の中心
石油は世界を動かしている。
そして、第三次世界大戦は始まりつつある。
目次
1.石油は世界の中心
目次
2.きっかけ
3.強い信念へのあこがれ
4.第三次世界大戦に向けて
2.きっかけ
この本を手にとったのは本当にたまたま。
出先でコーヒーでも飲みながら小説を読もうと思い購入。
そして、タイトルだけで手にとったので、内容を大幅に勘違いしていた。
戦国~江戸時代あたりの、村上水軍の話だと思っていた。
読み始めて、「あ、間違えた」と思った。
興味がない戦後から物語が始まっていたからだ。
しかし、主人公である国岡鐵造の魅力にどっぷりとハマり、一気に読み進めてしまった。
「ならん、ひとりの馘首もならん!」--異端の石油会社「国岡商店」を率いる国岡鐵造は、戦争でなにもかもを失い残ったのは借金のみ。そのうえ大手石油会社から排斥され売る油もない。しかし国岡商店は社員ひとりたりとも解雇せず、旧海軍の残油浚いなどで糊口をしのぎながら、逞しく再生していく。20世紀の産業を興し、人を狂わせ、戦争の火種となった巨大エネルギー・石油。その石油を武器に変えて世界と闘った男とは--出光興産の創業者・出光佐三をモデルにしたノンフィクション・ノベル、『永遠の0』の作者・百田尚樹氏畢生の大作その前編。
国岡鋳造が、本当にかっこいい。
こんな人の下で働けたら、幸せだろうと思った。
3.強い信念へのあこがれ
国岡鋳造は、何よりも人と日本という国家を大切にした。
強い信念。
それだけで憧れる。
私たちが思う、「ちょっとくらいなら」という抜け目が全くない。
自分の信念に反する時は、国家だろうがGHQだろうがイギリスだろうが徹底抗戦する。
潔いし、気持ちいい。
彼自身の魅力に取り憑かれ、必至に働く従業員。
「儲かる?儲からない?」というそんなのはどうでもよく、ただ信念の下に物語が進む。
リーダーシップとは何だ?という問いに対して、それは強い信念だと明確に答えてくれる。
憧れと同時に、自分も頑張ろうと思える良い本だった。
4.第三次世界大戦に向けて
この本はほぼ史実をベースにしている。
大きな事件のひとつとして、「イランの石油輸入」がある。
かなり手に汗握る展開で、一気に読み進めてしまったエピソードだったが、私は正直イランという国について良い印象を持っていなかった。
「イラク・イラン戦争」という言葉を思い浮かべたからだ。
自分の中での齟齬を解決するために、イランという国について調べた。
私の私感では、イランという国が荒れてしまったのは、アメリカとイギリスの石油利権が原因だと思う。
結果、イラン・イラク戦争やイスラエル問題、中東戦争、として現在のシリア難民問題やISIS(イスラム国)の台頭へとつながっていた。
中東情勢に無知だった自分を反省した。
私は第三次世界大戦が起きつつあると思っている。
国際戦争とは外交手段の行き詰まりだと言われている。
話し合った結果、戦争という手段を取らざるを得なくなる。
しかし、ISIS(イスラム国)とは話し合うことが出来なかった。
そういう意味では、「国際戦争」と呼べるのかは疑問がある。
もしかしたら、「戦争」や「国家」という概念が変わりつつあるのかもしれない。
この不安定な時勢に、歴史を省みる良いきっかけとなった一冊だった。
映画化もされる。
おそらく、イランの石油攻防のあたりがメインになるのかしら。
結構楽しみだけれど、頭のなかの想像が完璧過ぎるから、映画を見たらがっかりするかもしれない。